※先日、念願のモンゴルのスイスと呼ばれる観光地「フブスグル湖」でのんびりと優雅な休日を過ごそうとウキウキしながら出かけたものの、途中、大変なトラブルに遭遇してしまいました。
1日目は、お天気だったのものの後は全て雨または曇り。丸二日間(その後、5日間雨が続いたそうです)に渡って大雨が降り続いたために、普段は水が全く流れていない乾いた川が、大洪水になってしまいました。この洪水によりフブスグル湖では、子供が二人死亡してしまったそうです・・。流されてしまった車も多かったのではないでしょうか。
このような大きな洪水は、聞くところによると50年に1度らしいのですが、その50年に1度の洪水の時に旅行中だった私は、運が良いのか悪いのか・・。まあ、すごいアドベンチャー体験が出来ましたが。。
無事、ウランバートルに戻ってきた後には、話のネタにはもってこいの思い出となりましたけど、その場では「本当に無事、帰れるのだろうか・・神様、仏様助けて〜!」の心境でしたね。周りに日本人は一人もいない状況で、頼りになるのは、雇っていたモンゴル人のメインドライバー&サブドライバー。それに案内役のモンゴル人女性だけです。というわけで、その時のお話をさせて頂きますね。
ウランバートルに戻る予定日に大洪水になってしまったので、ハトガルという湖の畔のキャンプ場からムルンという町まで、車での移動が不可能になってしまったのです。
川の水が少しでも引かない限りは、町まで戻れそうないので、数日間の滞在費を送金してもらおうと、村の電話局兼銀行へ。そしたら、私と同じような外国人ツーリストや避暑に来て帰れなくなったモンゴル人で大混雑の状態。電話一本かけるまで2時間近くかかってしまいました・・。イライラして泣いてしまっているドイツ人女性。怖い顔をして通訳に怒鳴っているロシア系の男性。なんだかその場にいるだけで私も一層に不安に・・。
やっとのことで送金をお願いする電話をしたものの、こういう時に限って通じないものですね・・。また再度、別の友人に電話をすることになると2時間近く待たないといけないので(連続で電話出来ない状況でした。事前に電話番号をオペレーターに言って繋いでもらう方式)諦めて、手持ちの残り少ないお金だけでなんとか頑張ってみることに決めたのです。
というわけで、今まで優雅に滞在していたシャワー&トイレ、レストラン完備の小奇麗なキャンプ場から一転、村はずれの一番安そうな古いゲルに滞在することに・・。「ハァ、なんでこんな目に・・」とため息まじりで宿泊した安いゲルだったのですが、一番食事が美味しく、一番シーツや布団カバーが清潔で、一番寝心地が良かったのは、不思議でした。高級ツーリストキャンプに比べて半分以下のお値段だったんですよ。
さて、翌日も雨。天気予報では、明後日も明々後日もひたすら雨。このままお天気になるのを待っていたのでは、飛行場のある町「ムルン」までいつまで経っても辿り着けそうにないので、他の外国人ツーリストの運転手さん達と相談した結果、思い切って洪水の川の様子を見ながら渡ることに決めました。
川を渡る時にお互いに助け合わないといけないので、ツーリストの9台の車と一緒に出発しました。まず、最初の難関の大きな川を渡るのに、ひたすら待つこと数時間。流れが早く、川の水の量も減っているようには見えないのだけど、現地に詳しい運転手さん達は、出来る限り緩い流れの場所、浅い場所をみつけようと、じっと目を凝らして何時間も川の流れを見つめています。
そして、出発してから6時間ぐらい経った頃でしょうか。少しだけ太陽が顔を見せた時に、9台の車が順番に川を渡ることになりました。外国人ツーリストのランドクルーザーは、馬力があるので、危ないながらも渡ることが出来ましたが、ワンボックスカーは苦戦していましたね。私が乗っていたのは、古いロシアンジープだったのでこれまた非常に心配でしたが、唯一の救いは、フブスグル出身の運転の上手いベテラン運転手さんだったことです。
いよいよ私達の番になり、いざ出発!と、心の中で神様仏様にお祈りしながら川の中に入っていきました。実際に車で川に入ると、思いのほか深いこと、流れの速いことに驚きます。中州までは、わりとスムーズに渡ることが出来たのですが、途中で川の深みに挟まってしまいどうにもこうにも動くことが出来なくなってしまったのです。
徐々に車体は斜めに傾いていき、車内に、水が入って来てしまいました。このままでは・・もうダメ!と思った瞬間に、運転手さんの指示で息子であるサブドライバーが、濁流の川に飛び込みました。そして、流されそうになりながらもなんとか後ろについて来ているランドクルーザーにロープをかけて、牽引をお願い出来たのです。この時は、サブドライバーの勇気に、心底から感謝しましたよー。
最初、運転手さんから「彼、私の息子なのですが、何かあった時のために一緒に連れて行きます。」と紹介された時、必要あるのかな・・息子さんもちゃっかり避暑をかねて一緒に行くのかしら?と正直不満だったのですが、もし彼がいなかったらと・・今考えるとホント恐ろしい。大学で伝統相撲を専攻しているがっちりした体格の息子さんだからこそ、濁流の川に飛び込んで私達を助けることが出来たんでしょうね。普通の人だったら絶対に流されてしまいますもん。後から外国人ツーリストの女性から「あなた、凄い勇気ありますねー!」と感心されていました。
2番目の難関である大きな川も5時間ほど待ったあと、なんとか皆、無事に渡ることが出来ました。いよいよ最後の難関である一番大きな川は、今まで以上に流れも速く、深いそうです。外国人ツーリストのメンバー達は、皆、テントやキャンプ用品、食料を持っていたので、安心しているのか川原で食事を作ったり、トランプしたりと非常時でも冷静ですし、そんな状態を楽しんでいるような姿を横目で見ながら、あ〜あ、いったいどうなることやら、、とため息ばかり出てしまいました。
私は、キャンプをしに来たわけではなかったので(美しい湖の畔で優雅な休日の予定だったの・・)、テントも食料も無いし、お腹も空くし、美味しそうなキャンプ料理を作っている欧米人を羨ましく思いながら、ひたすら待つしかありません。運が悪ければ、今夜は野宿か・・とふと頭によぎり憂鬱になったり・・。待っている間、上の写真のような光景を何度も目にしていたので、不安だらけだったのです。
日が落ちてしまう夜の10時前までには、ここを脱出しないと町までたどり着けません。そろそろ時間も迫ってきたので、運転手さん同士が相談した結果、思い切って最後の難関である大きな川を渡ることに決めました。
ランドクルーザーやパジェロ等は、なんとか渡ることが出来ましたが、韓国人の若い女の子達を10人乗せたワンボックスカーが、途中で大きな石に挟まってしまったのか、身動きが出来ない状態になってしまいました。
車体は、どんどん傾いていくし、車内に水が入って来ているようで女の子達が、ペットボトルやバケツで水を窓から一生懸命に捨てています。運転手さんも、ついにどうにもならなくなったようで、大声で「助けてくれー!」の悲鳴が。しかし、助けることで共倒れになってしまう可能性もあるわけですから、誰も助けに行こうとしないのです。
その時、「助けよう!」と言ったのが私の乗ったオンボロロシアンジープの運転手さん。正直、心の中では「やめてよ〜!こんなジープじゃ絶対に無理だってば!」の気持ちだったのですが、すでに車は、傾いたワンボックスカー目指して、川の中をどんどん進んで行きます。そして、息子のサブドライバーが、またもや濁流の中に飛び込んで、ボックスカーを牽引するために、ロープを繋げました。
エンジンフル回転で牽引しているのでガガガガーッ!と凄い音と車体が大きくグラグラ揺れるので、あまりに怖さに体が硬直してしまうし・・。運転手さんも一生懸命、車を引き上げようと頑張っているのですが、大型のボックスカーは、ビクともせず。すでに、ボックスカーの車内は、水に浸かってしまっていたため、中にいた韓国人の若い女の子達10名が次々と川に飛び込んで脱出していました。あまりの恐怖のためか、彼女達全員が「おかあさーん、おとうさーん」と韓国語で言いながら泣いています・・。見ていて本当に可哀想でしたね。周りにいた外国人ツーリストの男性達も次々と川に入って、彼女達を救出していました。
その後、2台のランドクルーザーが、ワンボックスカーを牽引するためにやって来て、30分後、無事に岸まで引き上げることが出来ました。川べりでどうなることかと見ていた人達から思わず大きな拍手が上がりましたよ。私も皆が一つの気持ちになって助けようとしている姿を見て感動してしまいました。
この時の様子は、写真に撮ろうと思えば撮れたのですが、やっぱり水に胸まで浸かって泣いている韓国人の女の子達や完全に傾いて浸水してしまったボックスカーを撮る事は出来ませんでした。本当に壮絶な現場だったのです・・。大変でしたけど、女の子達も全員無事だったし、車も壊れずにすんで、ホッとしましたね。
一緒に助け合いながら川を渡った9台の車、皆、ケガもなく無事にその日の夜11時過ぎに町まで到着することが出来ました。朝早くから夜遅くまで、大変な1日でしたけど、決して忘れることの出来ない経験と皆で助け合ったことは、本当に良い思い出です。
翌々日、ウランバートルに到着した時の私の所持金は、なんと300Tg。日本円にしてたったの30円。我ながらよく頑張ったかも。
教訓として、モンゴル国内旅行では、いつ何が起きるか分からないので、予算より大めにお金を持っていくべきであり、何かのトラブルで野宿せねばならないこともあるかもしれないので、ちょっとした食料とお水は、必ず車に載せておくことが必要かと思います。皆さんも、モンゴル田舎旅行では、いつどんなトラブルが起こるか分からないので、心してお出かけくださいね! |